J-AIR NOW
202302/28 余すところなく使い切る!サステナブルな社会の実現に向けて~いまJ-AIRにできること~
こんにちは。J-AIR ESG推進プロジェクトチームです。
ESG推進プロジェクトチームでは、就航各地の名産品や地域の魅力の発信を航空会社ならではのかたちでお手伝いし、送客に繋げることで地域創生を推進する活動をしています。そしてその一環として、現在「山神果樹薬草園 国産柚子のハンドクリーム」の機内販売をしています。(*1)(在庫がなくなり次第、販売終了となります。)
こちらのハンドクリームはただのハンドクリームではありません。生産者さま独自の「丸ごと皮削り®製法」で抽出した柚子果皮精油を使用しており、外皮からのみ精油を搾るため果汁による香りの変質がないのが特徴です。まじりっけのない柚子そのものの香りを楽しめ、伸びのよいテクスチャーでべたつかずしっかりと保湿してくれます。乾燥が気になる季節にいかがでしょうか。
(*1)J-AIRオリジナル包装「国産柚子のハンドクリーム」機内販売開始(https://www.jair.co.jp/news/2022/j-airoriginalhandcream/)
今回は、そのハンドクリームの原料である柚子果皮精油が作られている徳島県佐那河内村(さなごうちそん)にある山神果樹薬草園へ取材に行きましたので、その様子を皆さまにご紹介します。
取材当日はJ-AIRの本社がある大阪国際(伊丹)空港から車で向かいました。「村」という響きと山道がしばらく続いたことから、かなり遠くまで行くのかと思っていました。しかし、予想とは異なり徳島市からは比較的アクセスしやすく、のどかな街並みを眺めているとあっという間に徳島県唯一の村である佐那河内に到着しました。「すだち」や「さくらももいちご」の産地として有名な佐那河内は、小高い山間の丘陵地で柑橘栽培には適した土地が多くみられる場所です。
川沿いの国道から丘を登ると、おしゃれな建屋が現れます。今回訪問した山神果樹薬草園です。こちらは経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定された松山油脂株式会社が開いた農園で、素材にまでさかのぼり、柑橘の栽培から加工、活用法の研究をされているのが特徴です。特に和柑橘を丸ごと余すところなく使い切るというあくなき努力をされていることをお伺いし一同感嘆しました。
「柚子」や「すだち」の精油はおしゃれな建屋の中にある工場で抽出されます。独自に育てた「柚子」や「すだち」だけではなく、傷のついたもの、ヘタがなく市場に出せない「柚子」や「すだち」を買い取って原料にしています。今回訪問した日はちょうどシーズン最後の「すだち」の精油抽出日でした。この工場では“ある製法”を活用して和柑橘の外皮を上手に削り精油を抽出します。何百個もの「すだち」が洗われ、外皮が削られます。その後、遠心分離機を使用して外皮から精油を抽出する工程が繰り返されます。工場中がすだちのいい香りに包まれていて、フレッシュな気分になります。
外皮を削られたすだちは、果汁を搾ってジュースやしぼり酢にします。外皮に含まれる苦みやえぐみが少なく、すっきりした味わいですが、無濾過なので口当たりは濃厚です。搾汁後の内皮や袋、パルプは地元名産のさつまいも、鳴門金時とジャムにしたり、ドレッシングの素材にしたりと、最後まで食べきれるよう工夫されています。そして、最終残渣は有機菌床堆肥に変え、まさしく「素材を丸ごとすべて無駄なく」使い切ります。
この“精油やジュースの製法”が実はすごいんです。機械の名前は「ペラトリーチェ」といい、金属製の爪で外皮だけを強く掻き取りながら、表面のボコボコとした油胞をつぶして精油を搾り取ります。果汁と接触しないため、その果実特有のフレッシュな、純粋な香りのする精油を得ることができます。日本での一般的な精油の製法とはまったく異なり、柑橘の世界的産地イタリアのカラブリア州から購入されたそうです。
しかし本来のペラトリーチェの方式は一度に膨大な原料柑橘を使います。その規模が山神果樹薬草園では見合わないため、当初は導入をあきらめかけていたそうですが、「今までとは異なることをして、新たな価値を生み出したい!それを実現するためには、どうしてもペラトリーチェが必要」と考え、メーカーと1年8か月をかけて交渉を重ねた結果、小規模機械の導入に成功されました。このペラトリーチェに山神果樹薬草園独自のカスタマイズを施した精油の抽出法を「丸ごと皮削り®製法」といいます。それぞれをそれぞれに合った方法で有効活用し、最後まで食べ切る、使い切ることができるのも、丸ごと皮削り®製法を実践しているからこそできる試みです。
原材料を「余すところなく使い切る」取り組みは、まさにSDGsの達成に貢献する活動です。自然の中に無駄なものは何もなく、日常の中で当然のように捨てられているものの中にはたくさんの素晴らしい要素が含まれているということを、山神果樹薬草園の取り組みや取材を通して学びました。また、里山の素材を生かしてお客さまの日常をすこやかに、豊かにしながら生産地も元気にするサステナブルな社会構築へとの思いにJ-AIRも共感し、ハンドクリームの販売を通してこの活動を応援していきたいと思います。
山神果樹薬草園には、和柑橘そのものの飲料やジャム、柑橘精油を配合したスキンケア商品などたくさんの商品があります。これもあれもと手を伸ばした結果、私の自宅は山神果樹薬草園の商品で溢れてしまいました。機内販売のハンドクリームをご使用になった際に「素材を余すところなく使い切る」取り組みを少しでも思い出してもらえれば、私たちも嬉しく思います。