J-AIR
HOME サイトマップ 個人情報保護
国内旅客運送約款 国内貨物運送約款 JALマイレージバンク
予約・空席照会 運賃案内 路線図・時刻表
発着案内 機内サービス about J-AIR エンターテインメント
  HOME  >  エンターテインメント  >  ジェイ・エア マガジン 文字サイズ変更 大きく 小さく
ジェイ・エア マガジン
ジェイ・エア マガジン

2013年3月
渡し板運用にいたるまで
誰でも「人の役に立ちたい」となんとなくでも思っているものだと思います。副操縦士のアイデアから始まった「渡し板運用」、これはそのひとつの答えかもしれません。
2010年の冬のある日、豪雪地域の空港所長の「大事なお客さまを猛吹雪の凍結した飛行場の上を歩かせないで済む、良い方法はないか!」という切実な声を受けて社長から運送部にミッションが課せられました。
「悪天候でも旅客利便性と安全性を向上させる運用を考えなさい!」
現在の日本の空港は大型機用の旅客案内と小型機用の旅客案内との大きく2つに分かれています。大型機はPBB(可動式旅客搭乗橋)の利用により、お客様はターミナルビルから直接飛行機に搭乗できますが、小型機はPBBの規格が合わず接続できないため、お客様は直に飛行場を歩いて飛行機に搭乗しなければいけません。(ターミナルビルから駐機場所が遠い場合はバスで飛行機の近くまでご案内しますが、最後はやはり屋根のない飛行場を歩く必要があります。)
そのため、悪天候の際、お客さまは飛行機に乗り込むまで雨、雪や風、ひどい時にはその全てにさらされることになります。また急な階段を上って飛行機に乗り込むため、足腰のあまり丈夫ではないお客さま、車椅子利用のお客さまには大きな負担をおかけします。もちろん飛行機から降りる場合も同様です。
空港職員はじめ多くの関係者が心の中では「申し訳ないな」と思いつつも有効な解決策がありませんでした。
社長からミッションを課せられた当初、頭をひねるものの、出るのはアイデアではなく脂汗とため息ばかりで、気が付くと4ヶ月間も経過してしまいました。
そんな時、CRJ(J-AIR保有の小型ジェット機)にも、もしかしたらPBBが接続できるのではないかとの案が社内から上がったのです。
それまでJALグループでPBBを使用している飛行機のいちばん低いMD機の床面の高さは224cmであり、床面の高さが172cmと50cm以上低いCRJに接続できるとは社内の誰もが想像すらしていませんでした。それでも待機していたPBBを見た副操縦士が「もしかしたら接続できるのではないか」と提案したのです。当時、有効な解決策を見出せず袋小路に入っていた運送部は彼のアイデアを受け、PBBの小型ジェット機への接続の研究を始めたところ、意外にも小型ジェット機の使用頻度が高いアメリカでは小型機専用のPBBがあること、またPBBが直接接続できない場合は専用のアダプターを使用してお客さまをご案内していることがわかりました。とはいえ、お客さまへの安全確保は第一であり、これまで日本で実施してこなかった運用を開始するにはさまざまな障害がありました。
第1の壁はPBB製造会社でした。調査の結果、PBBを直接、飛行機には接続できないため、日本の安全基準を満たすよう、アメリカではアダプターといわれていたものに「渡し板」とあまり垢抜けない名前をつけ、独自に製作をしました。その試作品を使用してPBBからお客さまを飛行機にご案内するべく開発、検討を始めたのですが、「本来とは異なる方法でPBBを使用する場合、製造会社としては万が一の場合、責任を負いかねるので当該運用の実施には懸念を表する。」との意見が出されました。そのため、アメリカでは敷設されていない転落防止用のネットの取りつけ、左右のガタツキ防止装置、移動時の負担を軽減する車輪の増設など、渡し板製造会社と運用予定空港の作業者との協議を通じて改良を重ねました。
第2の壁は空港の安全を監督する国土交通省航空局です。検討されている運用が安全を担保されているものであるか確認を取る必要があり、耐加重性、耐風速限界、運用時の安全対策、安全にお客さまが通過できるかの実地検証等多くの論理的根拠、実測DATA、検証報告を求められました。(安全を監督する機関としては当然のことですが・・・)そのひとつひとつを各部署、各空港の協力を得ながら解決、説明し、この渡し板運用の検討を始めてから10ヶ月後の2012年6月に、ついに国土交通省からCRJを当該運用によってPBB接続する飛行機として正式に認めていただいたのです。
そして最後の壁は現地の空港です。机上で十分議論、検討をし尽くしてきたつもりでしたが、実際、運用を試してみるとうまく渡し板が接続できない、保管場所をどこにするのか、工程がひとつ増えたため、到着時にお客さまに手荷物をお返しする時間がかかる、お客さまにお降りいただく準備を整えるまでに時間がかかる等、多くの課題が残っていました。そのひとつひとつを各部署、空港と協力して解決し、運用空港を拡大していきました。
現在、CRJ機が就航している全16空港中、7空港で運用を実施し5空港で運用に向けて準備をしています。当初は限定運用ですすめる予定でしたが、利便性、快適性にも大きく貢献しているところを現地で実際に確認できてからは、社内全体が積極運用に取り組むようになりました。
勿論、各空港の事情もあり、すべての空港、すべての便での運用実施は難しいですが、それでも当初に比べると多くのお客さまの利便性と安全性の向上に確実につながっています。稲盛名誉会長からも「足腰の弱くなった私みたいな老人にとって、こういった運用が本当のサービスだよ。」と言われました。
「人の役に立ちたい」簡単なようで難しい、ひとつの成果を私たちは多くの仲間や関係者のご協力を得て叶えることができました。まだ終わりではありません、今後も協力していただいた方々への感謝を決して忘れず、「より多くの方々の役にたつこと」を目標に今、自分ができることを精一杯努力していきます。
 
ジェイ・エア マガジン TOPへ戻る
ページの先頭へ戻る
copyright